006:ポラロイドカメラ
「しまったなぁ・・・」
家に帰って、鞄の中から出したポラロイドカメラを見て呟いた。
どうしても欲しかった彼との写真。
夏休みに入る前に、会えなくなる前に欲しくって。
終業式の後、後先考えずお願いして撮ってもらった。
ついてきてもらった友達によるとものすごく緊張した顔をしてたらしい。
舞い上がってたと思う。
友達が構えたポラロイドカメラからフラッシュがたかれた後、ジー、という音と共に出てきたまだ黒い紙を持って
「これ出来上がりが見たいから持ってっていい?」
と彼は言った。
言われてる意味を理解するより先に、彼が自分に話しかけているという事実に浮かれて
「うん。いいよ」
と言っていた。
「ありがと。じゃ、友達待ってるから。またな」
そう言って彼は行ってしまった。

彼が行ってしまった直後に自分の本来の目的を思い出して、落ち込んだ。
わざわざついてきてくれた友達にも呆れた顔をされた。
父親のポラロイドカメラを持ってきてしまったことを後悔した。
どうせなら980円の使い捨てカメラなら焼き増しも出来たのに。
そしたら、焼き増しした写真を渡すのにまた会う約束をすることもできたかもしれないのに。
憂鬱な気持ちと時間を巻き戻せない後悔。
これからの夏休みがとてつもなく長いものに思えた。

夏休みの1日目。
画像が浮かび上がった写真を持った彼に会うことになるとは知らない私。










100題とっぷ
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