015:ニューロン
会ったこともない、
声を聞いたこともない、
メールのやりとりと、
彼から見せてもらった写真だけが、
僕にとっての彼女だった。
勿論、会う予定も会ったし、
それが実現すれば、電話で長話もしたかもしれない。
全ては、もうあり得ないことだけど。
どうして、彼女がそんなことをするのか僕には理解ができなかった。
彼女の紡ぐ言葉はいつも、僕に確固とした情報を与えてはくれなくて、
それに僕が苛々していたのも事実。
僕がどんなに彼女と向き合おうとしても、
彼女は僕個人を見ていてはくれなくて、彼女が僕に向き合ってくれなかった。
そう思って、それに僕が失望したのも事実。
僕が彼女に向き合おうとすることを止めたのも事実。
彼女がもしかしたら、僕に救いか助けを求めていたかもしれないのに、
それを僕が黙殺したのも事実。
彼女は何が欲しかったのだろう。
何が彼女を壊してしまったのだろう。
彼か、彼女自身か、それとも僕か。
それを知る術はもうないのだけれど。
ただ僕が分かるのは、彼女が求めていたということだけ。
そして、僕がこれからできることは、精神構造に彼女という出来事を忘れないように組み込んで、
この出来事についてできるだけ前向きに考えることだけ。
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