026:The World
私の世界は小さな箱の中が全てだった。
透明な箱の外では、顔や手を布でつつんだ人たちがいつもせわしなく動いてる。
私につながれたチューブは、箱の外へとつながっていたけど、そのさきに何があるのか私は知らない。
毎日1回、その人たちと同じようなかっこをした人たちが私を見に来る。
箱に手のひらを当てて、私をじっとみつめる。
並んだ2つの優しそうな顔。
私が少しでも手足を動かすとその人たちは嬉しそうな顔をした。
「なつめ 」
私の名前を呼んでくれたけど、私は最後までその言葉を認識できなかった。
唐突に、そしてあっというまに私の命は終わった。
小さな透明の箱、そしてそこから見える全てが私の世界だった。
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