031:ベンディングマシーン

昔、彼氏と付き合いだした頃、夜中に家を抜け出して会ったりしてた。
まだ夏だったからそんなに寒くなかったし、僕は親の過保護っぷりにほとほと愛想を尽かしていたので少し反抗心もあったのだろう。
こっそり自分の部屋のドアを閉めて、家のドアを開けて、閉めて、カギをかける。
(だって、僕がいない間に泥棒さんが入ったらやっぱヤだし。何事も用心です)
家の前にある自販機の傍で、彼がバイクでやってくるのを今か今かと待ってたりした。
寒い時は、あったかいコーヒーを買ったりして。
缶一本分の時間しか一緒にいれないけど(お互い明日ってものがあるし、それに、僕もいなくなったのがバレちゃマズイし)、それはそれで、ちょっと楽しかったりもした。
それに、こんな時間にこんなとこまで来てくれるってのも嬉しかったし。
ここ最近、そんなことはなくなりました。
なんてったって、僕の部屋まで来てくれるわけで(言うまでもないけどこっちの方がリスクが高い・笑)。

たまに、夜中にどーしてもカフェインが欲しくなった時、僕はあの自販機に行く。
自販機は前と変らずひっそりとたたずんでいて、僕はつい、買ったカフェオレを自販機の陰で飲んでしまう。
そして、あの時の僕らを思い出して少してれたりする。









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