035:髪の長い女
髪は長い方がすきだと言われたから、
短いより長いほうがすきになってくれるなら、と思って、
この2年間伸ばしてきた。
そんな私の髪は、すでに腰の辺りまで届こうとしている。
最近、私を見る目が少し変わった気がした。
そんなときに見つけなきゃいいのに、彼の昔の彼女の写真を見てしまった。
腰まである黒髪。
そんなものに振り回されていたのかと、
そんなものと比べられていたのかと、
私を見ていたのではなかったんだと、
そんなことを思いながら、家に帰ってきた。
引き出しから、鋏を取り出した。
勢いヨク切っていく。
じゃきっ じゃきっ という音が部屋の中に響いた。
散らばった髪と、鏡の中の自分。
不ぞろいな髪と、少しすっきりした表情。
鏡の中の自分は、少し「ざまーみろ」と言いたげな顔をしていた。
その「ざまーみろ」は、自分に向けられているものなのか、それとも彼に向けられるものなのか。
まだ何も気づいてない彼に明日会って、どう言おう。
やっぱり、「ざまーみろ」?
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