054:子馬
生まれたばかりの子馬のように、君は必死で立ち上がる。
立ち上がらなくとも君はけして死にやしないし、僕は君を見捨てやしないのに。
走ることを覚えた子馬のように、君は草原をかけ走る。
そんなに早く駆けなくとも何も追ってきやしないし、 僕は置いていきはしないのに。
あんまり早く駆けていった君は僕の視界から消えてしまった。
だからそんなに早く走らなくとも、といったのに。
早くかえっておいで、と言っても走ることが楽しい君は帰ってきやしない。
きっとこのまま帰ってきやしない。
今までに見たことのない世界に魅せられたまま。
孤独であることに気づくまで。
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