056:踏切


夜の21時。
人もまばらになってきた踏切。
急行が通り過ぎてったその向こう側に君がいた。


「なんであんたがここにおんのよ」

かわいくない言葉を俺に投げつけかけたのは、俺の彼女。
昨日、ケンカしたまんま連絡取んなかった俺の彼女。

「・・・・別に」
俺の言葉に肩が揺れる。

「・・・あっそ。じゃ、あたし帰るから。
バイバイ」


俺の目の前を通り過ぎる彼女の手をつかんだ。
「…何すんのよ」
「……別に…」
あぁ、そんな泣きそうな顔をさせたいわけちゃうねん。
ただ、ただ、一言言われへんだけで。

常に負けず嫌いの僕ら。
君に意地張ったってしゃあないのにね。。

「…待っとった」
「え?」
「帰ってくるの待ってた」
「うん」
「……」
「……ごめんね?」
「……」
「……ありがとね?」

結局、君にその一言を言わせてしまうんだ。

帰りのサラリーマンが通る踏切。
君をぎゅっと抱きしめた。
きっと、眉をしかめて「近頃の若いモンは…」って思ってるに違いない。
しゃあないやろ。すきでしゃあないんやから。










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