061:飛行機雲
青い空に1直線に伸びる白い雲
それをまるで流れ星のようにじっと見つめる君を見ていた
白い雲を残してった銀色のソレが見えなくなって、
やっと名前を呼べた。
「さとこ」
「ん?」
振り返ったさとこは、まだ少しまぶしそうな目をしてて
それでも自分と俺の間にできた距離に気付いたのか、小走りで俺のそばへ寄ってきた。
「ごめんね」
「ん」
「あのね、飛行機雲」
「ん」
いや、別に流してるわけじゃなく、元々そんなに口数の多いほうではないのだ。
さとこもそれを分かってるから、俺の無愛想な返事を気にせず横に並ぶ。
「飛行機雲はさー」
横を並ぶさとこは俺より頭ひとつ分小さい。
けして小さい声ではないのだが、かといってうるさい声でもない。
ちょっとの距離を置いて話される落ち着いたさとこの声に、俺は耳を傾けた。
「飛行機雲は、いつもできるってわけじゃないんだよね。
イロイロな条件がそろって見えるんだけど、それも結構すぐに消えちゃったりとかするんだよ。
それに毎回ちょっとずつ違うしね」
だから、つい見つけると立ち止まって見送っちゃうんだ。
そうさとこは続けた。
「ん」
わかる。
さとこの話題が、学校横にあるパン屋の犬の話になった。
俺は、楽しそうに話すさとこの横顔を見てた。
わかる。
いつも見れるわけじゃない
すぐに変わってしまう
1回だって同じものはない
僕が君を見る理由といっしょだから
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