抱き枕。


最近、抱き枕が枕の種類の中で定番という地位を獲得してきたように思う。

仕事帰り、立ち寄った店の寝具コーナーを見ていて思った。
DIYの中でも大手のこの店は、7階建て14フロアの売り場にそれぞれ多種多様なものを取り揃えている。安さという点では、専門店に引けをとるが、「定番のものからちょっと変ったものまで」を一度に見てみたいときにはうってつけだ。

季節も変わったし何かカーテンでも変えてみようか、などと思ってとりあえずイメージ欲しさにカーテン売り場に向かう途中。
同じフロアにあった枕コーナーで抱き枕がやたら幅を利かしてるのを見て、立ち止まった。
今現在抱き枕を持っていない私としては、高い値段を出してまで欲しいもののリストには入ってなかったが、興味をそそられ手に取ってみる。

いろんな素材があるもんだ。
普通の布地から、やたらつるつるして伸びる素材。
これはちょっと気持ちいいかも。
でも、この形って微妙だなぁ。
それならあっちの方が。
でも、今のベッドのカバー色ならこっちの色も似あうかも。
そんなことを思いながら、色々さわって、掴んで、としている内にふと気付いた。

(今日の目的はコレじゃないんだって・・・)

自分に軽い脱力感を憶えながら、手に持っていた商品を棚へ戻す。

今の人たちは寂しいのかもしれない。
昼は笑ってられるけど、夜寝る時にせめてその寂しさを「抱きしめる」という行為で紛らわしてるのかもしれない。
それが事実かどうかは分からないけど、なんとなくこの予想は当たってるような気がした。
誰かに抱きしめられるよりも誰かを抱きしめたい、という願望がなんだか切ない。
私もそうなのだろうか。
家に帰ったら彼に電話をしよう。
勿論、お互い明日も仕事だから抱きしめあって眠るなんてムリだけど、わがままでもいいから寝る直前に声が聞きたい。
そんなこと思いながら、カーテン売り場へ急ぐ。
早く家に帰りたくなった。